職業訓練校の入校理由と期待
勤めていた会社が廃業することになったとき、多くの人が感じるのは、不安や焦りです。これまで長年勤めてきた職場がなくなってしまうという事実は、働く人にとって大きなショックです。家族を支える立場にある人や、これから先も働き続けたいと考える人ならなおさら、再就職のための準備が急務となります。
コロナ過のとき、多かれ少なかれこのような状況に遭遇された方も多いと思います。このような状況に立たされたときに、「自分にはどんなスキルがあるのだろうか」「今後どのような仕事ができるだろうか」と自問することが多いものです。このキャリアチェンジのきっかけは、もしかしたら新しい道に進むチャンスでもあるかもしれません。そのため、不安を感じつつも、前向きに再スタートを切った私の体験談を紹介します。
職業訓練校との出会い
ハローワークの利用の重要性
会社の廃業が決まり、廃業後の流れについてハローワークで説明会がありました。ハローワークでは、失業保険の手続きをはじめ、再就職を支援する様々なサービスについて丁寧に説明してくれました。多くの人がハローワークを通じて次の職を見つけるための第一歩を踏み出しますが、その中でも特に職業訓練校の存在は再就職を目指す人にとって大きな意味を持っています。私もその時初めて職業訓練校がどのようなものかを知りました。
職業訓練校との出会い
ハローワークを訪れ、担当の相談員と話す中で職業訓練校という選択肢を知る人も多いと聞きました。職業訓練校は、未経験からでも学べるカリキュラムを提供しており、興味のあった広告やWebデザインといった需要が高い分野でのスキルアップが可能とのこと。
また、受講料が無料であることが多く、金銭的な負担を少なくして学びに専念できる点も魅力でした。今までの経験に加えて、新しいスキルを得るためにこの機会を逃さないことが、再就職やキャリアチェンジに繋がると思い挑戦することに決めました。
興味があった広告・Webデザイン分野への挑戦
会社員時代に抱いていた興味
実は、会社員時代から仕事の都合で「広告」や「Webデザイン」に興味を持っていました。デジタル化が進む現代において、Webサイトや広告デザインに関する知識は非常に需要が高く、これらのスキルがあれば、再就職やフリーランスとしての活動に幅広く活かすことができるのではないかと期待できると考えたからです。
未経験からの挑戦
しかし、興味があるからといって、いきなり広告やWebデザインの仕事に就けるわけではありません。多くの人が「自分には経験がないから無理かもしれない」と感じることもありますが、職業訓練校はそんな未経験者でも学びやすい環境が整っています。実際にゼロからWebデザインを学び始めた受講生も、基礎から少しずつ実践的なスキルを身につけていくことができます。
職業訓練校での学び:期待以上の技術と知識の習得
職業訓練校では、単なる知識の学習だけでなく、実際に手を動かして学べる実践的なカリキュラムが用意されていました。私が受講したコースでは、基本的なWeb概論、さらにはHTMLやCSSといったコーディング技術まで幅広く学ぶことができました。
多くの受講生が「これほどまでに充実した内容を学べるとは思わなかった」と驚くほど、職業訓練校のカリキュラムは実践的です。授業の内容は基礎から始まり、最終的にはプロジェクト形式での制作までを行うため、実際に仕事で使えるスキルを身につけることができます。広告やWebデザインの実務に即した課題に取り組むことで、学びながら即戦力となる知識を得られるのが職業訓練校の魅力です。
訓練内容と学んだ技術の概要
まず、職業訓練校のカリキュラムの全体像を把握するために、925時間の訓練時間がどのように分配されていたかを紹介します。925時間という時間の中で、最も重要な役割を果たしたのは実技科目です。これらの訓練は、単なる理論にとどまらず、実際の作業やプロジェクトを通してスキルを磨くことを目的としています。実践的な作業を繰り返すことで、スキルの習得だけでなく、即戦力としての自信も得られました。
情報リテラシーからデータベース、画像加工まで
基礎から学ぶ「情報リテラシー」
職業訓練校の最初のステップとして学んだのが「情報リテラシー」です。これは、インターネットやコンピュータを効果的に使いこなすための知識やスキルを意味します。多くの人がインターネットを利用して情報を検索することに慣れていますが、訓練校で学んだ情報リテラシーは、単なる情報検索にとどまらず、正確で信頼できる情報を迅速に見つける方法、デジタル情報を整理する方法、プライバシーを保護しながら安全に操作する方法など、深い知識が含まれていました。
たとえば、インターネット上での情報収集の際に、信頼性の低いサイトからの情報に依存しないようにするための技術や、効率的に情報を整理してまとめるための方法も学びました。これにより、仕事で必要な情報を効果的に収集できるようになり、業務効率が大幅に向上しました。
データベースの基礎:情報管理のスキル
職業訓練校でのデータベースの授業では、情報を整理し、活用するための基本的な知識と操作方法を学びました。データベースは、現代のあらゆるビジネスにおいて重要な役割を果たしており、特にIT業界では欠かせない技術です。訓練では、データベース管理システム(DBMS)としてMySQLなどのツールを用い、データの追加、検索、更新、削除といった基本操作から、SQL(構造化クエリ言語)を使った高度な操作までを習得しました。
このスキルは、単にシステム管理やプログラミングの現場で役立つだけでなく、情報の整理や分析にも応用できるため、後の仕事でも大いに役立ちました。具体的には、データベースを活用して効率的に情報を整理し、必要なデータを迅速に取得する能力を身につけることができました。
画像加工技術:デザインの基本を学ぶ
Webデザインにおいては、画像加工スキルも必須です。訓練校では、ソフトウェアを用いて、画像の編集や加工の基本を学びました。画像の解像度の調整、色調の補正、不要な部分の削除といった技術は、Webサイトや広告のデザインに必要不可欠なスキルです。
例えば、商品写真の背景を削除し、清潔感のある白背景に加工する作業を行いました。このような画像加工技術を習得することで、Webデザインの幅が広がり、プロとしてのスキルも一段とアップしました。修了後も、画像の調整や編集が必要な場面で大いに役立っています。
PHPプログラミング言語の習得
当時のニーズに合わせたPHPの学習
訓練校では、プログラミング言語として「PHP」を学びました。PHPは、Web開発において広く使われているサーバーサイドのプログラミング言語であり、特に当時は求人需要も高かったため、実践的な技術として役立つと考えられていました。PHPは、動的なWebページを構築するために使用され、WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)でも採用されています。
PHPを学ぶことは、静的なWebサイトを制作するだけでなく、動的な要素を取り入れることで、ユーザーの入力に応じた内容の表示や、データベースとの連携が可能になります。例えば、フォームを作成してユーザーからの情報を収集したり、検索機能を実装したりするなどのインタラクティブなWebサイトを構築できるようになりました。
Webサイト制作実習でのPHP活用
Webサイト制作実習では、PHPを活用して実際のWebサイトを構築することが求められました。最初は基本的なHTMLやCSSの知識を活かして静的なページを作成し、その後にPHPを追加して動的な機能を実装する流れでした。たとえば、簡単なブログシステムを構築し、投稿した記事がリアルタイムで表示される仕組みを作るなど、実践的な課題に取り組みました。
実際にPHPでプログラムを組む経験を積むことで、コーディングの基礎を学ぶだけでなく、プログラムがどのようにして動作するかを深く理解することができました。また、トラブルシューティングやエラー解決のスキルも養われ、エラーが発生した際に自分で原因を特定し、修正する力がつきました。
WordPressの勉強に役立ったPHPの基礎
訓練校でPHPを学んだことにより、修了後にWordPressの勉強を始めた際、大いに役立ちました。WordPressはPHPで構築されているため、PHPの基本を知っていることで、テーマのカスタマイズやプラグインの利用、独自の機能の追加がスムーズに行えるようになります。
実際、WordPressのテーマを自分で改造し、オリジナルのデザインを作り上げる経験を通じて、Webサイト制作のさらなるスキルアップにつながりました。職業訓練校での学びが基礎となり、WordPressを用いた実務的なスキルも習得できたのです。
訓練科目の中での時間配分と重点項目
特にWebサイト制作実習とPHPプログラミング演習には多くの時間が割かれていました。672時間に及ぶ実技科目の多くは、これらの実践的なスキルに費やされており、単なる座学ではなく、実際の作業を通じて学ぶ形式でした。
たとえば、Webサイト制作では、最初は静的なページを作成するところから始まり、徐々にPHPを使った動的ページへと発展していきました。この段階的な学びにより、初めてWeb制作に触れる人でも無理なくスキルを身につけることができました。実際のプロジェクトを通じて、細かいデザイン調整やプログラムのエラー解決など、仕事で必要な技術が習得できた点が、訓練校での最大のメリットです。
同じ境遇の仲間との出会い:支え合いながら成長する環境
仲間との出会いが生み出す励まし合いの効果
職業訓練校には、似たような境遇で再就職を目指す多くの人々が集まります。その中で同じように頑張っている仲間と出会い、励まし合いながら学んでいくことは、大きなモチベーションになりました。共通の目標を持つ仲間がいることで、勉強や訓練に対する意欲も高まり、一緒に成長していけたのです。
チームでのプロジェクトの経験
職業訓練校では、チームでプロジェクトを行うことを行いました、これは就職後にも役立つスキルです。私の場合は、Webサイトの企画・制作プロジェクトで、役割分担をしながら進めることを通して、他人と協力して物事を成し遂げる力が養われました。
プログラミングの授業でHTML・CSS・JavaScriptによるデザインファイルの作成実習。Webサイトのサイト制作・検定対策など実践的な授業でチームを組んで卒業制作に挑みました。
このような実践的な経験を重ねることで、チームワークの重要性やコミュニケーション能力が自然と身についていきました。
職業訓練校で得た学びがもたらす未来への期待
職業訓練校で学んだスキルや知識は、これからのキャリアを切り開く大きな武器となります。特に、デジタルスキルの需要が高まる現代において、広告やWebデザインのスキルは転職市場でも高く評価される傾向にあります。また、スキルを活かして副業やフリーランスとして働くことも可能であり、自分の働き方を自由に選べるようになるというメリットもあります。
未来を見据えた新たなチャレンジ
職業訓練校で学んだことをベースに、さらにスキルを磨き、成長し続けることができます。自信を持って転職活動に挑むことができるのはもちろん、将来的にフリーランスや独立を目指すことも夢ではありません。自分の興味や強みを活かし、新しいキャリアを築いていくことで、以前にはなかった働き方の選択肢が広がります。
職業訓練校での学びは、新たなキャリアへの第一歩として、多くの可能性を提供してくれます。未経験の分野であっても、しっかりとしたサポートと充実したカリキュラムの中でスキルを身につけることができます。また、同じ境遇の仲間と出会い、励まし合いながら進んでいくことで、新たな挑戦に対する不安や孤独感を乗り越えられます。職業訓練校は、単にスキルを習得する場だけではなく、自分の人生を見つめ直し、未来に向けての希望を再確認できる場所でもあります。特に未経験からのスタートであっても、職業訓練校での実践的な学びを通じて、「本当にやりたかったこと」や「得意なこと」を発見することができるのです。
また、職業訓練校で得たスキルは、再就職だけでなく、フリーランスとしての働き方や副業としても活用できます。特にデジタルスキルは、在宅で仕事ができる機会が増え、柔軟な働き方が求められる現代の社会において大きな強みです。例えば、職業訓練校でWebデザインの基礎を学び、独学でさらに技術を磨いて副業として案件をこなすという道も考えられます。
生活向上のために職業訓練校を最大限活用しよう
積極的な姿勢で授業に取り組むことの重要性
職業訓練校で得られるものは、受け身の姿勢ではなく、積極的に取り組むことでさらに充実したものとなります。授業の内容をただ聞くだけではなく、自分で調べたり、質問をしたり、授業外でも学びを深めることが、スキル習得の近道です。また、教員や他の受講生との交流を通じて新しい知識や視点を得ることができるため、積極的に関わることが重要です。
授業が終了してからも、疑問に思ったことや理解度が不十分なところなど先生に質問していました。先生方も親切に教えてくれましたし、資格試験前には補修授業をする先生もいてとても助かった経験があります。
就職支援や相談サポートを活用する
職業訓練校には、受講生がスムーズに就職できるよう、様々なサポート体制が整っています。就職相談員にアドバイスを求めたり、履歴書の添削をしてもらったりすることで、自信を持って就職活動に臨むことができます。また、職業訓練校には企業とのコネクションがある場合も多く、学校からの紹介で求人を受けるチャンスもあります。そうしたサポートを積極的に活用し、自分に合ったキャリアを築いていくための準備を整えられます。
独学と組み合わせてスキルを向上させる
職業訓練校で学んだ知識を基に、独学でさらに学びを深めることも大切です。例えば、Webデザインであれば、授業で習得した基本を応用しながら、実際に自分でサイトを制作してみたり、無料のオンラインリソースや本を利用して新しい技術を学んだりすることで、スキルを強化できます。スキルアップには継続的な学びが必要ですから、自主的な学習の積み重ねが重要です。休日には、市の図書館をよく利用していました。各都道府県の図書館は、無料で使えることもあるので利用してみるのもありです。
新たな未来に向けて一歩を踏み出そう
職業訓練校での学びは、ただ単に「職を得るため」の手段としてだけでなく、自己成長や新しいキャリアへの挑戦の第一歩としての意味も持っています。未経験からでもしっかりとスキルを身につけられる環境があり、同じ境遇の仲間と共に学べることで、心の支えを得ながら前進できるのです。これまで勤めていた会社が廃業し、将来への不安に包まれていたとしても、新しいスキルや知識を手にすることで、希望が広がります。
職業訓練校で学ぶという選択肢は、短期間でキャリアチェンジを図るために非常に有効です。興味のある分野を基礎から学べること、そして就職活動やキャリアサポートも受けられることで、再スタートを切るための大きな支えとなります。たくさんの受講コースがあるので、これまで経験のなかった業界に興味を持っているなら、ぜひこの機会に挑戦してみてください。
まとめ:未来のキャリアを切り開くための最初のステップ
再就職や新たなキャリアを築くために必要なのは「新しいことに挑戦する勇気」と「学び続ける意欲」です。職業訓練校は、そんな勇気と意欲を後押しし、あなたを次のステージへと導く場所です。学んだスキルや知識を活かして、自分らしい働き方を実現し、生活向上を目指しましょう。職業訓練校での学びが、あなたの未来を大きく切り開く一歩となることでしょう。