「ハローワーク」と聞くとあまり関心もないし、どんなところかもよくわからない。しかし、ある日突然勤めている会社が倒産といった事態が起こらないともかぎりません。そんな時あなたの助けになる公共機関が「ハローワーク」です。
退職後の方は、焦らず自分自身で納得のいく転職をすることが望ましいです。また求職活動を円滑にすすめるためにも「ハローワーク」をうまく利用したいものです。私の経験も含め、これから「ハローワーク」を利用しようとされている方にどのような利用法があるのかを今回は紹介します。
退職以外にも政府が進めているリスキリングなどの活用においても利用できる施設です。うまく活用出来るに越したことはありません。ハローワークは、就職に関する様々な情報を提供や就職活動のサポートをしてくれます。
自分に合った求人情報を見つけるためには、自分が希望する職種や、自分が持っているスキル・経験を明確にしておくことが大切です。ハローワークの職業紹介を利用することで、自分に合った求人情報を活用する事ができます。
ハローワークの仕組みとメリット
ハローワークでする手続き
ハローワークは、国が運営する職業安定所であり、求職者と求人者をつなぐ窓口です。ハローワークでは、求人情報を提供しているだけでなく、雇用保険の手続きや就職支援、職業紹介などのサービスも提供しています。
求職中の方に仕事の紹介をしてくれる、職業相談ができる窓口でもあり、雇用保険加入者は、失業保険の受給手当の手続きを行い、定期的に「失業認定」と呼ばれる審査をへて失業手当を受け取ることになります。
ハローワークを利用するには、まずは近くのハローワークに行き、受付で求職者登録を行う必要があります。登録には、身分証明書や印鑑などが必要となります。
1.離職票ー1
2.離職票ー2
3.マイナンバーカード
4.本人の印鑑(スタンプ印不可)
5.写真2枚(正面上半身.縦3cm×横2.5cm)
6.本人名義の預金通帳
7.船員であった方は、船員保険失業保険証及び船員手帳
基本手当の受給手続きの流れ
(例)会社都合による解雇、定年等の理由により離職された方
受給手続きをする本人が、必要書類を居住する管轄のハローワークで手続きをします。
雇用保険の受給手続きの進め方や就職活動について説明があります。また、受給資格証など必要書類を渡されます。
受給資格の決定を受けた日から、失業の状態が通算して7日間を経過するまでを「待機期間」といいます。この期間は基本手当は支給されません。
失業認定日ごと(原則として、4週間に1回)に受給者証と失業認定申告書を提出します。就労の有無、求職活動の実績(期間中に原則2回)などを確認して失業の認定を行います。
おおむね1週間程度で、失業の認定を受けた日数分の基本手当が申請した自身の預金口座に振込まれます。
求人閲覧、職業相談は認定日以外の日も利用できます。
就職後の給付金として、再就職手当・就業促進定着手当・就業手当・常用就職支度手当・高年齢再就職給付金など申請出来る場合があります。
詳しくは、ハローワークインターネットサービス(就職促進給付)を参照ください。
求職者給付を受ける資格とは
被保険者期間によって違いがあります。
被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日が11日以上ある月を1ヶ月と計算します。
引用元:厚生労働省 ハローワーク資料
失業保険の1日当り給付額とは
失業している日に受給できる1日当りの金額を「基本手当日額」といいます。また、基本手当日額には、上限額・下限額が定められています。
基本手当の給付日数とは
特定受給資格者・一部の特定理由離職者の場合
離職時の満年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | × |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
35歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
特定受給資格者とは、倒産・解雇などの理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方。
引用元:ハローワークインターネットサービス(基本手当の給付日数)
特定理由離職者とは、特定受給資格者以外で、期間の定めのある労働者契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由による離職をされた方。
定年、契約満了や自己都合退職の方
定年退職された方や契約期間満了の方は、下記の内容になります。
離職時の満年齢 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
65歳未満の方 | 90日 | 120日 | 150日 |
すぐに働くことが出来ない方(65歳未満で退職された方)の場合
離職後1年の基本手当の受給期間内に、下記の理由で働くことが出来ない状態が30日以上続いた場合は、受給期間を延長する事が出来ます。また、教育訓練給付の受講を希望している方については、訓練を受けられる期間を延長する事も出来ます。
- 病気やけがで働くことが出来ない
- 妊娠・出産・育児(3歳未満に限る)などにより働くことが出来ない
- 親族の介護のため働くことが出来ない
- 60歳以上の定年などにより離職して、しばらくの間休養する
延長理由 | 病気やケガ・妊娠・出産・親族の介護など | 60歳以上の定年など |
申請期間 | 離職の日(働くことが出来なくなった日)の翌日から30日過ぎてから早期に申請いただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請は可能 | 離職の日の翌日から2ヶ月以内 |
延長期間 | (本来の受給期間)1年間+(働くことが出来ない期間)最長3年間 | (本来の受給期間)1年間+(休養したい期間)最長1年間 |
子育てをしながら就職を希望される方の場合
子育てをしながら就職を希望されている方の場合は、「マザーズハローワーク」という出産後や育児中の再就職や就職情報のサポートを行う機関もあります。子供を連れて行っても困らない設備(おむつ交換台など)や環境を考えて情報提供をおこなっている施設です。マザーズハローワークについては「厚生労働省の政策について」のページを確認してみてください。厚生労働省「マザーズハローワーク事業」
「働きたいけど、何も特技や実績もないから…」とあきらめる必要はありません。家事やPTA、地域の活動、ボランティアなども立派な活動であり経験です。それまでの知識や経験も立派なキャリアです。
再就職手当とは
雇用保険受給資格者が基本手当の受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就き、または事業を開始した場合に支給することにより、早期の再就職を促進するための制度です。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残して再就職した場合⇒基本手当の支給残日数の70%の額
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残して再就職した場合⇒基本手当の支給残日数の60%の額
- 但し、基本手当日額の上限があります。上限は6,190円(60歳以上65歳未満の場合は5,004円)となります。上限額は年によって変更される場合があります。
再就職手当を受ける場合には支給要件を満たす必要がありますのでハローワークインターネットサービスの再就職手当のご案内[PDF:1838KB]をご参照、またはハローワーク窓口にてお問い合わせください。
就業促進定着手当とは
再就職手当を受給された方が再就職先に6ヶ月以上雇用され、再就職先での6ヶ月間の賃金の1日分の額(賃金日額)が、離職前の賃金の1日分の額よりも低い場合に受けられます。
就業手当とは
受給期間内に所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して再就職手当の支給対象とならない常用雇用形態等以外の形態(1年を超える見込みのない雇用)で就業した場合にあh、その就業日ごとに基本手当日額の3割(1円未満は切り捨て)が支給されます。
年齢により基本手当日額に上限があります。
高年齢再就職給付金とは
離職後に基本手当を受給している60歳以上65歳未満の方が、支給日数を100日以上残した状態で再就職(1年を超える雇用見込み)して被保険者となり、再就職後の各月の賃金が賃金日額の30日分とくらべて75%未満である場合に支給されます。各月に支払われた賃金の15%が限度となります。
引用元:厚生労働省 ハローワーク資料
同一の就職で再就職手当と高年齢再就職給付金の双方の支給要件を満たす場合は、どちらか一方のみの支給となります。
ハローワークのサービスを上手に活用しよう
経験やスキルを生かせる求人情報の探し方
まず「ハローワーク」仕事を探すには、自分の経験やスキルを生かせる求人情報を見つけることが最短の方法です。そのためには、自分がどのようなスキルや経験を持っているかを把握しておくことも重要です。
職業紹介では、専門のアドバイザーが自分の希望する職種や条件に合わせた求人情報を紹介してくれます。自分のスキルや経験に合った求人情報を受け取ることができるため、採用されやすくなる可能性も高まります。
自己分析と職業紹介を上手に活用することで、自分に合った求人情報を見つけやすくなります。自分が本当にやりたいことや向いていることを明確にすることで、将来的にも満足できるキャリアを築くことができるでしょう。
インターネットサービスで効率よく仕事を探すには
従来求人情報はハローワークの窓口で手続きをした方のみハローワークのパソコン端末で求人情報が閲覧できる仕組みでした。現在は、一度ハローワークで登録しておけば、自宅のパソコンのインターネットからハローワークのサイトに入り求人情報検索を閲覧できるようになっています。
ハローワークのウェブサイトでは、自宅にいながらハローワークの求人情報の検索ができます。まずは、自分の希望する職種や勤務地などの条件を入力して、検索を行いましょう。
詳しくは、ハローワークインターネットサービスをご参照ください。
ハローワークに求職登録している方は、ハローワーク受付票に記載されている求職番号を入力して検索できます。求職者番号を入力するとハローワークの求職者に限定して事業所名等を公開している求人情報が閲覧できます。
ハローワークの求人情報を活用しながら、他の求人情報も収集する方法
ハローワークでは、求人情報を提供するウェブサイトや求人票、求人情報の閲覧コーナーなどがあります。これらの情報を活用することにより、自分に合った求人情報を収集することしかし、ハローワークだけに頼るのは限界があります。他の求人情報サイトや、職業紹介会社、人材派遣会社などを活用することで、より多くの求人情報を収集することができます。
求人情報サイトでは、インターネット上で多数の求人情報が公開されています。無料のサイトもありますが、求人情報の質が高く、自分に合った求人情報を狙いやすい有料のサイトもあります。ただし、無料サイトと有料サイトの両方を利用することをおすすめします。また、SNSや求人情報アプリも利用することで、より多くの求人情報を手軽に収集することができます。
職業紹介会社や人材派遣会社は、求職者に対して専門的なサポートを提供してくれます。求人情報の提供だけでなく、履歴書や面接のアドバイス、就職後のフォローアップなど、より細かいところまでサポートしてくれる場合もあります。ただし、紹介手数料や派遣料が発生することがあるため、利用前にしっかりと確認しましょう。
ハローワークの求人情報はもちろん重要ですが、他の求人情報サイトや職業紹介会社、人材派遣会社も併せて活用することで、より多くの求人情報を収集し、自分に合った仕事を見つけることができます。
自分に合った求人情報を見つけよう
自己分析をして希望する職種を明確にする方法
自己分析とは、自分自身の性格やスキル、興味や関心などを分析し、自分に合った職種を見つけることです。自己分析をすることで、自分に合った職種を明確にすることができます。
自己分析をするためには、自分の長所や短所、得意なことや興味があることなどを紙に書き出して整理すると良いです。また、自分の経験やスキル、資格なども把握しておくことが重要です。厚生労働省が推奨しているジョブカードを活用する方法もあります。「マイジョブ・カード」のページからダウンロードできるサービスも開始しています。これらの情報を元に、自分に合った職種を探しましょう。
ジョブ・カードとは、求職者、在職者、学生など幅広い方の就職活動やキャリア形成に役立てる事ができます。求職中の方はこれまでのキャリアを振り返り、経験から得たことや、活かせる能力・強みなどを整理することで、今後どのようなキャリアを歩みたいかを考えるためのツールです。
引用元:厚生労働省 ジョブ・カード制度
ハローワーク以外の就職活動についても知っておこう
履歴書の作成や面接の対策を受ける方法
ハローワークでは、就職活動に必要な履歴書の書き方や面接の対策など、就職に関する様々な講座やセミナーを開催しています。もちろん参加費用は無料です。これらの講座やセミナーは、求職者にとって非常に役立つ情報が満載です。
私も求職活動の一環とし就職活動セミナーを受講しました。例えば、履歴書の書き方では、必要な項目や書き方、注意点などを学ぶことができ、他の人の体験談を聞くことができました。また、面接の対策では、面接でよく聞かれる質問や回答の仕方、身だしなみや言葉遣いの注意点などを学ぶことができました。
職業訓練校利用方法について
職業訓練校も就職活動において有用なツールです。ハローワークでは「ハロートレーニング」と言って自分が就職したい業界や職種に必要なスキルや知識を学ぶことができます。ハロートレーニングでは、求人情報を提供してくれるだけでなく、面接のアドバイスや履歴書の書き方、ジョブカード作成指導など、就職活動に必要なサポートをしてくれます。
ハローワークの情報以外でも、ネットワークを広げることで得られる情報や、職業訓練校や職業紹介会社の利用方法を知っておくことで、就職活動の効率を上げることができます。
ハローワークでこれらの講座やセミナーを受講することにより、自分自身が就職に必要なスキルや知識を身につけることができ、自信を持って就職活動を進めることができます。しかも無料です。但し、講座の日程が決まっている為、早めにハローワークの窓口やパンフレットで確認しましよう。
ハローワークだけでは就職情報は不十分な場合
ハローワークには、多くの求人情報がありますが、全ての求人情報が集約されているわけではありません。他の求人情報もチェックすることで、自分に合った求人情報を見つけることができます。例えば、地元のボランティア団体や、自治体の求人情報などもあります。また、インターネット上にも多くの求人情報があります。ハローワーク以外の求人情報も収集することで、より自分に合った求人情報を見つけることができます。
民間の求人情報サイトや転職エージェントの利用方法について
民間の求人情報サイトや転職エージェントは、ハローワーク以外でも就職活動に役立つ情報を提供してくれます。民間の求人情報サイトでは、ハローワークには載っていない求人情報や、求人情報を検索しやすい機能があることが特徴です。一方、転職エージェントは、求人情報だけでなく、自分のスキルや経験に合った求人を紹介してくれたり、面接対策や履歴書の書き方のアドバイスも受けられます。
株式会社経営人事パートナーズ「賢者の人事」・・・会社の人事部(採用する側)目線での情報もあり、求職者目線の情報もあり、また求人検索もわかりやすい。
ハローワーク以外で就職活動に役立つ情報を提供してくれる転職エージェントはやはり業界大手のサービスが求人登録数も多いため有利です。求人数・業種の網羅性を考慮すると国内NO.1の転職支援実績のあるリクルートエージェントがおすすめです。初めて転職する方が、自己分析や企業選び、面接対策なども独自のセミナーを開催していたり、就職活動のサポートも充実しています。
ネットワークを広げることで得られる情報について
ネットワークを広げることは、就職活動で大切なことの一つです。自分が就職したい業界の人と交流を持つことで、その業界で求められるスキルや経験を知ることができ、また、その人たちから求人情報を教えてもらうこともできます。
例えば、ある人が看護師として働きたいと思っていた場合、看護師として働いている友人や知人と話をして、どのようなスキルや経験が求められているのかを現場の情報として把握する事ができます。また、その人たちが働いている病院や医療機関の情報も得ることができ、応募先を探す上での情報収集に役立ちます。
まとめ:初めての方必見!ハローワーク利用ガイドと手順
ハローワークでの就職活動に必要な情報をまとめました。自己分析やスキル・経験を生かせる求人情報の探し方、履歴書や面接対策の受け方など、初心者でも分かりやすい内容になっています。また、ハローワーク以外にも民間の求人情報サイトや職業紹介会社、ネットワークを活用する方法についても解説しています。読者の皆さんは、自分に合った求人情報を見つけ、自己アピールのポイントを押さえることで、理想の職に就くことができます。ぜひ、この記事を読んで、就職活動に役立つ情報を得て、自分の可能性を広げてみてください。