キャリアチェンジやスキルアップを目指す方にとって、職業訓練校は非常に有効な選択肢です。特に40代・50代の方でも新たな分野に挑戦しやすく、訓練終了後に就職へとつなげられるカリキュラムが多く用意されています。さらに、職業訓練は資格取得も目指せるため、職業選択の幅を広げたい方におすすめです。
今回は、人気のある職業訓練講座5選の紹介と、それぞれの分野での就職実績を解説します。また、公共職業訓練と求職者支援制度の違いや手当の仕組み、職業訓練校を選ぶ際のポイントについても触れます。新しい一歩を踏み出したい方は、ぜひ参考にしてください。
人気の職業訓練講座5選とその就職実績
医療事務分野
医療事務職業訓練の特徴と魅力
医療事務分野は、安定した需要があり、特に女性を中心に人気の高い職業訓練コースです。医療機関での受付や会計業務、医療保険の手続きなど、事務職の中でも専門性の高い業務を行うため、医療に関する基礎知識や専門的なスキルが求められます。
カリキュラム内容と学べるスキル
医療事務の職業訓練コースでは、次のようなスキルを学ぶことができます。
- 医療保険制度の基礎知識：健康保険、介護保険、労災保険などの基本的な仕組みを学ぶ。
- レセプト作成：診療報酬明細書の作成方法を実習を通じて習得。
- 患者対応スキル：受付や電話応対、患者さんへの説明スキルを磨く。
就職実績とキャリアパス
医療事務分野の職業訓練コースの修了生は、クリニック、病院、歯科医院など多様な医療機関での就職が多く、就職率は比較的高いです。コース修了後は医療事務の専門資格を取得し、正社員として安定したキャリアを築くケースが増えています。また、経験を積むことで、医療事務のチームリーダーや事務長といったキャリアアップも目指せます。
介護・福祉分野
介護職業訓練の特徴と社会的な需要
高齢化社会が進む日本において、介護・福祉分野の人材需要はますます高まっています。介護業務は身体的にも精神的にもサポートが必要な人に寄り添う仕事であり、社会貢献度が高い分野です。
カリキュラム内容と学べるスキル
介護職の職業訓練コースでは、以下のようなスキルを学びます。
- 介護技術の基礎：食事、入浴、排泄のサポート技術や、安全に配慮した介護方法を実践的に学ぶ。
- 介護保険制度の理解：介護保険の利用方法や支援内容についての知識を深める。
- コミュニケーション技術：高齢者や家族とのコミュニケーションスキルを養う。
就職実績とキャリアパス
介護職の職業訓練修了生は、介護施設や在宅介護サービスなどで即戦力として働くケースが多く、就職率も非常に高いです。また、修了後に「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」の資格取得を目指すことも一般的です。介護福祉士の資格を取得すると、施設のリーダーや管理者としてのキャリアパスが広がります。
介護業界は、特に人材不足が続いているため就職率が非常に高い分野です。介護職員初任者研修や実務者研修などの資格を取得し、介護施設や訪問介護の現場で働くスキルを身につけます。未経験からでも学べるため、40代・50代からの再スタートにも適しています。
- 就職実績例：特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護サービスなど
- 就職率：80％～95％
営業・販売・事務分野
営業・販売・事務分野の職業訓練の魅力
営業・販売・事務分野は、どの業界でも活用できるスキルが学べるため、転職希望者や未経験者にも人気があります。特に事務スキルは、パソコン操作やビジネスマナーといったビジネスの基礎が学べるため、幅広い分野で活躍できるのが特徴です。
カリキュラム内容と学べるスキル
営業・販売・事務職業訓練コースでは、次のようなスキルが身につきます。
- パソコンの基本操作：Excel、Word、PowerPointといったオフィスソフトの使い方を学ぶ。
- ビジネスマナー：電話対応やメールの書き方など、社会人としての基本的なマナーを身につける。
- 販売スキル：接客や営業のスキルを磨き、顧客満足度を高めるテクニックを学ぶ。
就職実績とキャリアパス
この分野の職業訓練修了生は、オフィスワークや販売職、営業職としてさまざまな業界で活躍しています。特に、ビジネスマナーや事務スキルは多くの企業で評価され、事務職での正社員としての採用が多いです。将来的には、営業リーダーやオフィスマネージャーなど、マネジメントポジションも目指せます。
中でも簿記会計や社会保険関連の講座は、経理や総務職への就職を目指す方に人気です。簿記の資格取得を目指し、会計の基本や社会保険の手続きについても学べます。企業の内部管理部門での需要が高いため、資格取得後の就職率も高いです。
- 就職実績例：企業の経理部門、税理士事務所、社会保険労務士事務所など
- 就職率：60％～80％（簿記2級取得者は特に高い）
IT・デザイン分野
IT・デザイン分野の需要と魅力
デジタル化が進む現代社会において、ITやデザインスキルの需要は非常に高まっています。プログラミングやWebデザインのスキルは、IT企業だけでなく、幅広い業界で必要とされるため、将来性が高い分野です。
カリキュラム内容と学べるスキル
IT・デザイン分野の職業訓練コースでは、次のようなスキルが習得できます。
- プログラミング：PythonやJavaなど、実践的なプログラミング言語を学び、アプリ開発やWeb開発に挑戦する。
- Webデザイン：HTMLやCSSの基礎から始め、Photoshopなどのデザインツールの使い方も習得する。
- ITリテラシー：ネットワーク基礎やセキュリティの知識を学び、IT業界での活躍に必要な基礎を固める。
就職実績とキャリアパス
IT・デザイン分野の修了生は、エンジニア、Webデザイナー、システムサポート職など、さまざまなポジションで活躍しています。また、企業のデジタル化に伴い、就職の選択肢が広がっているため、比較的就職率も高くなっています。さらに経験を積むことで、フリーランスや起業といった選択肢も考えられます。
特にWEBデザイン・プログラミング系は人気講座
IT業界への転職を目指す方には、WEBデザインやプログラミング講座が人気です。HTMLやCSSの基礎から始め、WordPressやJavaScriptなどの実践スキルを学べます。近年では未経験からエンジニア職に挑戦する方も多く、職業訓練がその一歩となっています。
- 就職実績例：WEB制作会社、IT企業のエンジニア職、フリーランスデザイナーなど
- 就職率：60％～75％
製造・建設関連分野
製造・建設分野の職業訓練の魅力と需要
製造業や建設業は日本の基幹産業であり、これらの分野では専門スキルを持つ人材が必要とされています。特に、現場での経験が重視されるため、職業訓練での実践的なスキル習得は重要です。
カリキュラム内容と学べるスキル
製造・建設関連の職業訓練コースでは、次のようなスキルを習得します。
- 機械操作技術：工作機械やCADソフトの基本操作を学び、精密な作業に必要な技術を身につける。
- 安全管理：現場での安全管理の方法や基本的なリスク管理を学ぶ。
- 建設基礎：建築の基礎から施工管理まで、建設現場で役立つ知識を身につける。
就職実績とキャリアパス
この分野の修了生は、製造業や建設業での就職率が高く、技術者や施工管理職として活躍しています。修了後に国家資格を取得することで、職場での評価も高まり、キャリアアップがしやすくなります。また、経験を積むことで工場長や施工管理技士といった役職を目指せる可能性も広がります。
直近のデータで確認するには
直近の職業訓練校（ハロートレーニング）の分野別の実績は厚生労働省のデータで確認することが出来ます。
ハロートレーニング（離職者向け）の令和５年度実績(4-12月実績)
また、年代や地域によってバラツキも見られます。将来的なことを考慮すると、次の章のご自身の目的に沿った選択を優先すべきです。その上で、お住まいの地域、経済的な状況を踏まえて判断するほうが賢明です。
自分の目的に合った講座を選ぶ
まずは、自分が目指す職種や取得したい資格を明確にしましょう。その上で、目的に合った講座が提供されているか確認することが重要です。例えば、IT業界を目指すならプログラミング講座、不動産業界を目指すなら宅建講座など、目標に合わせた講座を選びましょう。
就職支援が充実しているかを確認
職業訓練校によっては、就職支援が充実している校舎もあります。履歴書や職務経歴書の書き方講座、面接対策講座、就職先の紹介など、サポート内容が豊富な学校を選ぶと安心です。
実務経験を積む機会があるか
一部の職業訓練校では、企業でのインターンシップや実習が含まれる講座があります。実務経験を積むことで、就職後の業務にスムーズに対応できるだけでなく、採用面でも有利になります。
学習環境や通いやすさを考慮する
通学が難しい場合は、オンライン講座が用意されているかも重要なポイントです。また、通学が必要な場合は、学校の立地や交通アクセスを確認し、無理なく通えるかどうかを判断しましょう。
公共職業訓練と求職者支援制度の違い
職業訓練には、公共職業訓練と求職者支援制度の2種類があります。どちらも無料で受講できる点は共通していますが、受講対象や支援内容に違いがあります。
公共職業訓練とは
公共職業訓練は、雇用保険に加入している方が対象の職業訓練です。離職者や転職希望者が、再就職に必要なスキルを身につけるための講座が提供されます。受講中は、雇用保険の失業手当が支給されるため、経済的負担を軽減しながら学べます。
- 対象者：雇用保険受給者
- 手当：雇用保険の失業手当（基本手当）
求職者支援制度とは
一方、求職者支援制度は、雇用保険に加入していない方や自営業者などが対象です。就職に向けたスキル習得を目的としており、無料で講座を受けられる点は公共職業訓練と同じですが、**月額10万円の「職業訓練受講給付金」**が支給される点が特徴です（支給条件あり）。
- 対象者：雇用保険非加入者（フリーター、自営業者など）
- 手当：月額10万円の職業訓練受講給付金（条件：世帯収入8万円以下など）
職業訓練校を選ぶときのポイント
職業訓練校を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえることが大切です。自分に合った講座を選ぶことで、スムーズな就職やスキルアップが可能になります。
まとめ：職業訓練で未来のキャリアを切り開こう
職業訓練校は、スキルアップや資格取得、キャリアチェンジを目指す方にとって非常に有効な選択肢です。簿記、介護、IT、不動産など、多彩な分野の講座があり、それぞれの分野で高い就職実績が期待できます。また、公共職業訓練と求職者支援制度という2つの制度を理解し、自分に合った講座を選ぶことが成功への近道です。
あなたの目指す未来に向けて、職業訓練を活用し、新しいキャリアの可能性を広げてみませんか？